民主にいがたの梅谷守です。会派を代表致しまして、ただ今提案の第15号議案「米価下落等に対する農業の所得確保対策に関する意見書」について趣旨弁明を致します。
周知の通り、19年産米は、平年収量を100とした時、作況99と平年並みの収量にもかかわらず、消費者の米離れもあいまって、約7万haもの過剰作付により23万トンも生産がオーバーしました。こうした影響もあり、昨年秋には米価が前年の同月に比べると約8%下落し、新潟コシにおいては約11%下落。真面目に生産調整に取り組んだ農家がかえって不利益を被るという事態に陥っているのが現状です。
政府はこれまで、米流通の規制緩和を進め、生産調整についても行政の関与を減らしJAなど農業者・農業者団体が主体的に進めるといういわゆる「米政策」の改革を進めてきました。
ところが、こうした米価下落の状況に、政府も背に腹は代えられなかったのか、昨年10月に、34万トンの政府米備蓄を積み増し、10万トンを飼料向けに処理することを柱とする「米緊急対策」を、そして昨年末には、「戦後農政の大転換」と位置づけた「品目横断的経営安定対策」を転換するともに、「米政策改革」、「農地・水・環境保全向上対策」の見直しを行い、これらに対応する総額1111億円の予算を概算決定しました。
19年産米の備蓄積み増しによって現在備蓄はすでに100万トンに達しており、20年産も積み増すことは現実的に困難でしょう。また、品目横断的経営安定対策の面積用件を見直したといっても、市場原理に基づく大規模化推進という本質は変わってはおらず、小規模農家が加入できるようになったわけではありません。また、「地域水田農業活性化緊急対策」をもっていわゆる「踏切料」を支払うこととしましたが、果たしてこれが本当に生産調整拡大に資するのか。今の政府の対応は「小手先」と言わざるをえません。
農家の方々の不安は、今の農業施策の見通しが不透明なことにあります。これから安心して米作りを続けられ、息子さんや娘さんにしっかりとその後を継いでもらい、先祖代々から続く田んぼや村を守っていくためには、先の見える施策を講じる必要があります。
そこで、米についても麦や大豆と同様に直接支払いの対象とするよう「水田経営所得安定対策」の見直しを行い、農家所得を確保するための対策を講じること。また、水田の有効活用に向け、飼料用・バイオ原料用等非食用米、米粉などの普及・推進を図ると共に、地域の生産体制の確立に向けた積極的な支援を行うこと。この2点を、農業の視界を晴らすべく、国に強く訴えようじゃありませんか。
国際的に穀物価格が高騰するなど世界の食料事情が大きく変化する中、世界各国は輸出規制を始めています。また、国内では、中国製冷凍ギョーザによる中毒事件から端を発した「食の安全・安心」の課題が突きつけられています。今こそわが国の食料安全保障について真正面から議論しなければなりませんし、そのためには食料の安定供給の確保が不可欠です。
食料自給率の向上と国内での食料の安定生産に取り組んでいかなければならないとはいえ、国が責任をもって取り組むという現在の制度の仕組みの上では、新潟県として行えることにも限界があるのは事実です。しかし、その中でも率先して国に改善を訴えていくことが農業先進県たる責務ではないでしょうか。
加速化する農家の離農・耕作放棄は、農業・農村の崩壊を招きかねず、今や待ったなしの状況です。その対策として、米の再生産を確保し、地域農業の維持・発展をさせなければならない。この想いは党派を超えて同じくするものだと確信しております。
新潟県議会からこそ、「農業の未来」に向け、国に対し改めて見直しを訴えるべく、ご出席の先生方からのご賛同を心からお願い申し上げ、趣旨弁明と致します。