海外視察2日目。今日はオークランドを約300km南下し、「ワイラケイ地熱発電所」へ向かいました。
NZは北島と南島と周辺の島々に区分されますが、そのうち北島中央にある3つの活火山周辺は長さ241km・幅50kmの主要地熱地帯であり、そこに目をつけた政府が50年以上も前に、世界で2番目となる地熱発電所(1番目はイタリアのラルダレロ)を設けたのです。
地熱の利用とは、地下に存在している高温の岩石によって熱せられた地下水のエネルギーを利用すること。ボーリングによってこの高圧の熱水を汲み上げると、圧力に伴って沸騰が起こり、蒸気となって噴出する。この蒸気をパイプラインを通じて、地熱地帯の中心から約2km離れた発電所へと送られるというわけです。なお、使用済みの蒸気は、タービンによって冷却した後、ワイカト川に放流されています。
原子力を持たない方針のNZでは、エネルギーは70%が水力発電でまかなわれ、その他は火力発電、そして地熱発電(4%)によるもの。現在は風力発電も進めているそうです。
このように、とにかく「自然」をとことん意識した姿勢には脱帽です。ですが、現在検討中の中国との自由貿易協定(FTA)が締結されれば、それ以降、経済成長が更に加速する可能性が大でしょうから、それに伴い人口の増大が見込まれ、現在のエネルギー供給量ではまかないきれなくなる将来が近く訪れるのでは。こうした未来に対しNZ政府はどのような政策をうってくるのか。日本に戻ってからも注目して参りましょう。
発電所視察の後は、帰りの道中にあるNZ最大の湖「タウポ湖」付近にあるエビの養殖工場を視察。休日のため残念ながら工場はお休みでしたが、周辺が観光地化しているのには驚きました。
さながら釣堀のごとく、エビつり用の大きなため池がいくつもあり、その周りをカップルや親子が糸を垂らしながらゆったりとエビ釣りを楽しんでいるのです。そのほか、渓流ボート下りがあったり、ゴルフの打ちっぱなしがあったり、お土産センターがあったりと、大勢の観光客を呼び込んでいるのが印象的でした。
エビ視察を終えると、再び3時間ほどかけて市街地中心部へと戻り夕食。そして早めに就寝して一日が終了です。
今日はバス車内にいる時間が多い一日でしたが、おかげでガイドや運転手とNZについてたっぷり話すことが出来ました。先住民族であるマオリ族とイギリス人との争いの歴史、NZの特色たる農業と観光、近年の国内政治の流れ(特に保護主義から一気に規制緩和に切り替えた点について)、今年1月に弾けたバブルによる経済の動向について等々。
結論として、NZでは一極集中化や若者の人口流出など、新潟県と似たような課題を抱えつつも、ゆったりとした楽観的な国民性が危機感を微塵たりとも感じさせていないのがスゴイ。青い空と海のもと一人一人がそれぞれの人生を楽しんでいるように見えてなりません。
どうやらNZは「幸運で幸せな国」・「クリーン・アンド・グリーン」をイメージ展開しているそうな。そう考えると、まさにひとりひとりがこのコピーを体現していると言えます。
翻って、新潟県は一体どんなイメージを展開しているのか。知事は、「誰もが生き生きとした希望の持てる社会」と言っていますが、それだけではないもう一歩踏み込んだイメージ作り・イメージ戦略が必要なのではないでしょうか。