本県のみならず我が国にとって大きな課題となっている「環太平洋パートナーシップ協定(以下、TPP)」の参加の是非について、私の所属する会派・民主にいがたから最終日の本会議に意見書を提案することになりました。その意見書の作成担当者となり、過日の党議で承認を頂いたため、以下にお知らせします。
作成の際に私が意識したポイントは2点。①農業と工業の対立の調和の観点ではなく、国益を第一に踏まえた全体的な視点を有さなければならないこと、②現時点では情報があまりにも希薄なので、こちらから不安要素を解消する前提条件を示しその達成を求めつつ、今後慎重に対応するよう強く釘を刺すこと。
これらを集約したキーセンテンスが「単なる経済的利益だけではなく広く国益を第一に考え、極めて慎重な判断と対応を行う必要がある」。
それではご覧下さい。
<「環太平洋パートナーシップ協定」等への慎重な対応を求める意見書(案)>
政府は本年11月、包括的経済連携に関する基本方針を閣議決定し、「高いレベルの経済連携の推進と、我が国の食料自給率の向上や国内農業・農村の振興とを両立させる」との方針を示した。中でも環太平洋パートナーシップ協定(TPP)については、交渉参加の前段階であるとはしつつも、「情報収集を進めつつ、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始する」としている。
TPPについては、政府は「センシティヴ品目には配慮をしつつ行う」としているものの、ほとんど例外を認めない非常に高いレベルの経済連携協定と言われており、仮に何ら対策を取ることなく参加し、例外なく関税が撤廃されるようなことになれば、特に農林漁業の壊滅的ダメージが見込まれ、その結果、多面的機能並びに食料安全保障の崩壊、つまり「国土と命の崩壊」に繋がるものと大いに危惧している。
政府は、持続可能な力強い農業を育てる対策を講じるため「食と農林漁業の再生推進本部」を設置し、来年6月を目途に基本方針を決定、10月を目途に農業の競争力強化に向けた抜本的国内対策と財政措置及びその財源を検討し、行動計画を策定することとしているが、対策の検討及びEPA・FTAやTPPへの参加検討に際しては、単なる経済的利益だけではなく広く国益を第一に考え、極めて慎重な判断と対応を行う必要がある。
よって国会並びに政府におかれては、TPP等について慎重に対応する前提として、下記の事項について早急に取り組むよう強く要望する。
1、農林漁業への戸別所得補償を強化するとともに、6次産業化と高付加価値化の更なる推進を図ること。
2、食料安全保障としての自給率向上、消費者負担から納税者負担原則への国民の理解促進及び財源の確保に取り組むこと。
3、国民全般に対する農林漁業の担う多面的機能と食料安全保障の啓発に取り組むこと。
4、今後の方針とスケジュールを明確にするとともに、関係省庁の情報統一化など交渉体制の充実を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により提出する。
平成22年12月17日