活動

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2011年12月09日

活動記

平成23年12月9日 12月議会一般質問原稿

本日10時から始まる本会議において、一般質問を行います。私は午前中、2人目のバッターとして壇上に立ちます。

その原稿を以下にアップしますので、お時間のある方はご覧下さいませ。

1、景気・経済対策について

<復興特需>

⇒先の大震災は、我が国の生産力低下やマインド低下など甚大な被害を及ぼしたことは言うまでもありません。こうした中、東日本大震災復興対策本部が7月29日に公表した「復興の基本方針」によれば、補正予算等を通じ、10年で復旧・復興対策として約23兆円を投じる。特に、平成23年から27年度年度末までの前半5年で19兆円(23年度第1次・2次補正予算含む)の投入はGDP比を0.8%押し上げるものとされ、この復興特需が、年後半以降、景気回復に貢献する可能性があると囁かれています。

⇒首都圏と地方との間における経済変動は、「ジェット機の後輪」に例えられます。つまり、景気回復局面は前輪である首都圏から現出し、地方は後輪であるため首都圏に遅れて現出する。一方で、景気後退局面では後輪である地方から現出すると言われており、結果として地方は首都圏と比較して景気後退期が長いとの指摘がある中、今回の復興特需が本県経済にとってどの程度の規模がどのようなタイミングで波及するのか、非常に気になるところです。こうした地方の経済変動における特性は、その大きな要因の一つとして、「下請け構造」があります。

・知事は4年前の私の質問に対し、本県産業の「下請け構造」課題を指摘しておられました。しかしながら、県内には依然として、最終製品の組み立て前の製品製造や、加工での下請け企業が多く、また、リーマンショックや円高に伴う影響が、首都圏に比べて遅れて出ていることなどから、4年前と比較しそれほど改善されていないと思いますが、現状を知事はどのように受け止めているのか、また改善に向けて今後どのように対応すべきなのか、知事の見解を併せてお尋ねします。

<デフレ対策としての内需拡大策と地元調達>

⇒世界経済に目を向ければ、EUの金融不安から端を発する景気減速や通貨安、アメリカ経済の足元景気の減退、そして中国の消費や製造業の減速、インフレ圧力の向上など、外需減少のリスクを抱えているし、長期化するデフレや円高も加わり、復興特需の効果が弱まりかねないとの指摘もあります。

・知事は、先の12月定例会提出議案説明で、「円高是正とデフレ脱却には、まずはベースマネーの増大と有効需要の創出が必要である。」と述べられましたが、有効需要とは何を指すのか、知事のお考えをお伺いします。

⇒デフレ脱却にはただお札は新たに刷るだけではなく、あくまでお金を使う需要の創造、つまり出口政策も併せて検討しなければなりません。

・デフレ下での投資の抑制は企業の経済合理的判断の結果ですし、消費マインドも今の閉塞感漂う景気状況では改善もままなりませんから、もはや民間だけの力では需要を創造することは極めて困難です。これから復興特需が来ますが、その勢いを更に加速するためにも、来年度当初予算案においては、公共投資による需要拡大を図るべく、県単公共事業費の確保が重要と考えますが、知事の所見をお伺いします。

⇒公共事業費の確保においては、地震と水害の被災地で懸命に頑張っておられる地域への各段の配慮をお願いしたい。具体的には、これからの除雪の時期に向けて、災害対応に割いてきた人員や機械の確保を後押しして頂きたいですし、そもそも夏場の仕事の激減が人員確保を阻んでいますので、地元企業の発注や経営の安定化の観点から、事業量の更なる確保に向け知事からの各段のご配慮に満ちた答弁を期待し、お願い申し上げます。

・また、12月2日の記者会見で、知事は住宅投資について前年同月比から大きく下回る状況に触れ、「やはり将来に対する不安が大きいと長期のローンを組みにくいことから、政策的なテコ入れがなければ落ち込む状況になる」と述べておりますが、知事がお考えであるテコ入れ政策をお伺いします。

次に、

2、原発関連について

<福島原発事故検証>

・知事は定期点検中の原発について、「福島原発事故に対する検証がなされない中で、再稼働について議論する段階にない」との立場を表明しておりますが、高経年化や地震の影響などを正確に知るには、壊れた配管を直接調べるなどの正確な事故原因調査が必要で、そのためには格納容器内部に入らなければならず、有識者によると、事故現場の放射線量が非常に高く近寄れないため、内部に入るのに10数年かかるとも言われているのです。

政府の「東京電力福島原発における事故調査・検証委員会」においては、事故収束の大体の方向が定まった後に、最終報告するとし、畑村委員長は、来年の夏頃までに報告したいと述べていますが、いつを事故収束とみなすのか不明であり、検証は相当先になることが見込まれます。そこで知事にお伺いしますが、この状況下においても、「福島原発事故に対する検証がなされない中で、定期点検中の柏崎刈羽原子力発電所の再稼働について議論する段階にない」との立場に変わりはないか、確認させて下さい。

<原発事故対策>

・福島の重大事故からは、計画的避難区域の設定状況から半径50キロ圏では全住民の長期避難がありえることが実証されましたが、見方によっては、これは現場作業員・消防・自衛隊・警察・米軍などのあらゆる関係者・関係各機関の必死の協力でたまたまこの範囲ですんだのかもしれない。そう考えると、原発事故に伴う想定内外のあらゆる事態に対応するためには、現在の人的資源をどのように活用して対策に臨むのかなどの、人員・人材の在り方についても議論しなければならず、この点、11月30日公表された「柏崎刈羽原子力発電所の過酷事故時における対策の考え方」事務局素案の中では、原発事故に伴う想定内外の事態に対応するための人員・人材の記述が不十分であり、前提を欠いたものに感じますが、知事の見解をお伺いします。

・原発事故対策には財源の確保も大きな課題です。県からの人材の確保・派遣・提供はもちろんのこと、関係自治体には原子力防災を担う部署を備えるべきでしょうし、区域内に指定された自治体では原子力・放射線に関する教育を充実させる必要があるなど、原子力災害対策には終わりの見えない膨大な資金が必要となります。そこで提案ですが、県ならびに関係自治体は今からそのための基金を設置し、そのために必要な資金を国および事業者に要求すべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。

<立地地域と周辺地域との格差是正>

これまでは原発の新増設を促す観点から原発立地地域を中心に国から交付金が配分されてきました。しかしながら、このたびの福島第一原発事故を受け、今後は、従来の原発立地対策としての交付金から安全対策としての交付金として見直さねばならず、その際、広域化する原子力防災対策の実施範囲を踏まえ、立地地域と周辺地域で格差が生じないようにすべきであり、県としてもこの方針で取り組む必要があると考えますが、知事の見解を伺います。

次に、

3、中山間地域・過疎地域対策について

⇒格差と言えば、中山間地域の格差解消こそ急務です。

⇒県内の55.7%を占める中山間地域の急激な過疎高齢化。現在、県内30ある市町村のうち半分近くの14が過疎法で規定されている過疎市町村。総務省・国土交通省の調査によれば、平成22年4月現在で、本県過疎地域市町村の集落数は平成18年6月時点の2,777から2,980へ、そのうち「65歳以上の高齢者が50%以上の集落」は333から387へ増加しており、厳しい状況が続いています。

・このように高齢化が急速に進む以上、中山間地域や過疎地域の有する自然保護、国土保全、きれいな水の供給、食材の確保など、いわゆる豊富な多面的機能の保持は、もはや待ったなし急務の状況にあると考えますが、知事の描く10年、20年後の中山間地域・過疎地域の将来像をお伺いします。

・平成17年3月、国の「次世代育成支援対策推進法」に基づき策定された「新潟県次世代育成支援行動計画」では、良好な居住環境の確保として「中山間地域へのIターン・Uターン者の数」を平成22年度までに9000人とする数値目標を定めていました。ところが、その数は、平成16年度の8,008人から平成22年度には6,380人と推定され、年々減少するばかり。このことからも中山間地域の担い手不足が顕著となっていることが明らかですが、減少の一途をたどるこうした状況について知事の所感を伺うとともに、これまでの政策効果をどのように捉えているのか。また、Iターン・Uターン者数の増加へ向けての知事の決意をお伺い致します。

⇒中山間地域で耕作放棄の防止策に取り組む集落を支援する目的で、農水省は直接支払い制度を5年ごとに財務省とぶつかり合いながら進めています。これは、中山間地域に「今」住んでいる方が協定を結び耕作放棄地防止のための取り組みを進める事業ですが、永続的にするには、次世代に中山間地域等に来てもらい住んでもらうことに尽きる。

・今の直接支払制度の協定の選択メニューのなかにも「新規就農者の確保」がありますが、農業立県たる本県として、新規就農をさらに後押しするために県条例の制定が必要と考えますし、また、中山間地新規就農者確保モデル事業の補助金交付が、平成21年度採択地区で今年度、23年度採択地区で25年度に終了し、事業としては27年度に終了しますが、中山間地域農業の必要性、抱える危機の緊急性、県全体の発展に向けた県の役割などを考えれば、切れ目ない予算措置を行うことも重要と考えます。来年度以降に向け、更に一歩踏み込んだ予算面・施策面での配慮が必要と考えますが、いかがでしょうか。知事の見解をお伺いします。

⇒こうした県単予算が絡む話になると、「県で対応する場合にはその財源をどこに求めるのかということについて県民のコンセンサスが得られなければ実施できない」という答弁が知事から返ってきてしまいますが、これ以上は「待ったなし」の気概で、「県民のコンセンサスを得る努力」をいよいよ本格化して頂きますことを切にお願い申し上げます。

・この項目の最後に、マニフェスト大賞実行委員会が主催
する第6回マニフェスト大賞の優秀成果賞部門で先日、上越市議会の「議員提案による『中山間
地域振興基本条例』の制定」が最優秀賞を受賞したことに対する知事の所見をお伺いします。

4、北陸新幹線諸課題について

<呼称統一>

⇒まずお伺いしたいのが呼称の統一についてです。

・2014年度末の北陸新幹線開業に向け様々な課題に向き合う中、新潟市を中心とする地域では「2014年問題」と称し、上越地域では「北陸新幹線の諸課題」と呼んでいます。確かに、取り組むべき課題や見据える市場等が異なるため仕方のない現象なのでしょうが、上越市では「2015年春開業」と銘打ち施策を展開しているなど、統一性に欠けるわかりにくい表現となっています。様々な取組や検討を全県挙げて行っていくためには、まずは呼称統一を図り、全県的な機運を最大限まで高めた上で北陸新幹線開業を迎えるべきではないかと考えますが、知事の見解を伺います。

<並行在来線>

⇒次に、並行在来線について気になる点をいくつかお尋ねします。

・まず運転手の確保と人材育成について。並行在来線株式会社が行った10月の採用試験を経て、将来運転手になって頂く予定の方々6人(一般枠4人、高校枠2人)の第一期生が決まったと聞いております。地元からの雇用促進や人材育成に時間がかかることなどを考えれば、安全・安心面の確保から、JR出向社員からのノウハウを早期に引き継ぐために、今後、運転士だけでなく、会社全体の人材確保をどのように行っていくのか、中長期的な計画についてお伺いします。

・信越本線と北陸本線はJR2社により運行されていることや、両線とも天候等の影響を受けやすいことから、直江津駅における列車のスムーズな接続が利便性に関わる大きな課題であると考えますが、これらの対応をどのように考えているのか、お尋ねします。

⇒並行在来線の新駅設置についても大いに気なるところです。この点、11月25日の総合交通・防災対策特別委員会での課長答弁で「経営計画の中で請願方式としているが、並行在来線株式会社で候補地となった所を調査、検討している」とのことです。

・この点、上越教育大学の近くに新駅を設置することについてはどのように考えているのでしょうか。車を所有する大学生がどれくらいいるのか分かりませんが、私の学生時代には自身も含め所有者はごくわずかでした。車社会の地域性から考えると、並行在来線の新駅については特に若者の足として上越教育大学付近に設置することは地域振興にとって非常に意義あるものと考えますが、現在、候補地はどの様な理由で、どこを見据えているのか、知事の見解をお伺いします。

⇒次に、知事は12月定例会提出議案説明の中で、「県としては、国の対応如何にかかわらず、沿線地域の皆様の生活に不可欠な交通手段が将来にわたって存続できるよう、運営会社への必要な資金手当等の支援に責任をもって取り組みます。」と述べられました。並行在来線の存続には、運営会社の経営の安定化が重要であると同時に、路線としての利便性の向上も重要で、特に後者は利用者数を大きく左右するでしょう。

・そこでお尋ねしますが、「並行在来線運営会社への必要な資金手当等の支援に責任をもって取り組む。」とする「必要な資金手当等の支援」とは何をさすのか、また、平成9年及び12年の知事と沿線市町村長との確認書の中で「県が責任を持って存続を図る」とした「責任」とこの度の「責任」の意味は同じと捉えても良いのでしょうか。違うとすればそれは何か、知事のご所見をお伺いします。

⇒いずれにしても、国の方針が未定とはいえ、並行在来線運営においては開業後30年間で300億円から600億円の赤字が見込まれるという極めて重い負荷がかかる中、存続に向け、安全性は勿論のこと、利便性を最大限配慮しながら議論を進めておられる関係各位に敬意を表しますし、そのご努力が、将来的により多くの利用客に使って頂ける並行在来線となって実を結ぶことを願ってやみません。引き続き知事からの物心両面、全面的なバックアップをお願い申し上げます。

<上越地域振興>

⇒並行在来線をより多くの方々から利用して頂くには、併せて、北陸新幹線新駅に降りたくなるようなまちづくりを関係自治体が市民と一丸となって取り組むことが不可欠です。その中で、県としてやるべきことは、北陸新幹線開業に向け、今から上越地域をもっとアピールすることだと確信しています。

⇒少し前の話になりますが、平成19年4月14日に上越市で開催されたセミナーで知事は「地方分権、道州制の議論がなされていくとき、県としては優先的に上越を支援したい」と仰っていて、当時私がこの真意を問うと「県として施策を展開する際、優先順位をつける必要が生じる場合が間々存在しております。そのときの判断、どういうふうにしたらいいのか悩ましいケースというものが常に出てまいります。その際、上越が果たしている役割と地理的な重要性、今後の可能性ということも十分念頭に置いて判断を行うという趣旨」とのご答弁でした。

・上越は、首都圏から北東アジアにつながる横軸と東北から関西につながる縦軸とした、いわゆる十字型経済交流圏のど真ん中に位置し、北信越との交通の要衝となるなど、国土構造上重要な地点であり、かつ直江津港が日本海拠点港指定され北陸新幹線新時代を実質あと3年後に迎える今こそ、可能性に満ちた上越を「県として優先的に支援すべき」と考えますが、知事のご所見をお伺いします。

⇒支援策を私なりに具体的に申せば、以前も提案させて頂いた、単年あるいは複数年間に県内特定地域を順次集中的に情報発信する「新潟版デスティネーションキャンペーン(仮称)」を銘打ち、地域振興局内に部局を設け、特に開業までの間、上越地域の様々な取組みを新幹線沿線地域、特に首都圏に発信する運動を展開すべきです。これから東京と金沢が始発となるのだから、今から上越地域の取組みをそこに向けて発信し集客に力を注ぎ、上越市の観桜会や謙信公祭、酒祭りなどの魅力を知って頂く。そして「それが開業後にはこんなに近くなるんだ」ということをアピールするのが、開業日直後のスタートダッシュに繋がるものと考えます。

・JR九州の例では、開業直後、震災の関係で客数が予定を大幅に下回る駅も出ており、この減った上での数ですら今後のダイア改正の材料にもなるとの意見が出ていて、現在市長はJRに停車数増を必死に訴えているという報道もあります。北陸新幹線新時代を迎える中、開業日直後のスタートダッシュに繋げるべく「新潟版デスティネーションキャンペーン(仮称)」として今から上越地域の魅力を首都圏に発信し、集客につなげる運動を支援すべきと考えますが、知事の所見をお伺いします。

<直江津港の発展から地域の飛躍へ>

⇒上越にとって、人の入り口が北陸新幹線新駅だとすれば、物流・産業の入り口が直江津港にあたります。先般、15年の年月と予算約700億円をかけた国のエネルギー港湾整備が完了するとともに、日本海拠点港湾の指定が新潟港とセットでなされるなど、今後エネルギーの安定供給と太平洋側港湾の代替機能が大いに期待されているところです。
ただ、ここで気をつけなければならないことは、港湾の問題は地域政策や都市政策の中で考えるべきであって、港湾だけを、また物流機能だけを取り上げて競争力を議論するだけでは不十分だということ。
大事なことは、どのような地域・都市にするのか、その中で港湾がどのような役割を果たすのかが問われます。

・直江津港の整備強化を地域の具体的な振興に繋げるには、新潟港との機能分担と連携の推進、もっと言えば、それに準じた後背地の個性ある産学集積づくり、そこからの物流促進に向けたインフラ整備等が非常に重要になるものと考えますが、知事は日本海側拠点港として直江津港の整備強化を今後どのように進めていくのか伺うとともに、コンテナ貨物による物流の促進に向けて、新潟港との機能分担や連携が必要であると考えますが、どのように対応するのかお伺いします。

・また、直江津港の後背地の産業集積をどのように進め、上越地域の振興に繋げるべきとお考えか知事に伺います。
・さらに、都市政策の観点から、直江津港を一つの核としたまちづくりにより上越地域の振興につなげるべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。

次に、

5、医師不足対策について

⇒今年の「夢おこし政策プラン」の中間評価において「病院の従事者医師数」の県の取組みが「遅れている」と報告される中、知事はこの12月議会においても、本県の勤務医不足と地域偏在への対応が最重要課題との認識を示しています。

<医学部新設>

・医師の絶対数確保に間違いなく繋がる医学部新設について、先日の新聞記事にあるように、県は「①県立の大学医学部開設、②私立大医学部の誘致、を軸に検討する方針」で間違いないのか。また、以前私が提案したメディカルスクール構想を県の方針として検討するつもりがないのか、知事に伺います。

・本県として新たな医学部設置の実現は切望するところですが、一番のネックは文部科学省告示によって「大学医学部の新設はできない」ことになっていること。ここを外さなければ一歩も前に進みません。この点、文科省が平成22年12月から始めた「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会」発表の論点整理素案によると、医学部新設については賛否意見が両論併記されておりますし、メディカルスクールについても意見が出されています。この素案が、パブリックコメントを経て、最終的にいつ、どのような形で公表されるのかは未定ですが、こうした状況の中、知事は今後どのような戦略をもって告示のハードルをクリアしていくつもりなのか。また、先般、茨城と静岡の両県知事とともに国に要望書を提出し、「医師のへき地勤務の義務化などに加え、特にひっ迫している地域における医学部新設等に関する規制緩和を強く要望」されましたが、その反応と手応えはいかがだったのか、お伺いします。

⇒新たに医学部に入った学生が、国家試験に合格してめでたく卒業し、臨床研修を終えて一人前の医師になるには最低でも8年を要するため、今から医学部を新設できたとしても10年後にならなければ効果が出ないと言われています。そこで改めての提案です。医師不足の解消は喫緊の課題だからこそ、ほかでもない、医科大学院「4年制メディカルスクール」の議論も併せて行い、国に対し要望すべきです。

⇒新潟が率先してこの構想を打ち上げることによって、いざ国がモデル事業を行いその選定に差し掛かった時、早くから手を挙げていた自治体が大変有利に働くことをどうかご理解下さい。

<修学資金貸与医師>

・「夢おこし政策プラン」の中間評価によれば、「医師確保については、修学資金制度の充実によって、ひとつの道筋も見えてきており、数年先には確実に医師が増えるものと思われる」と指摘されるように、今最も期待できるのは、「新潟県医師養成修学資金貸与医師」の増加、つまり県が配置権限を持つ医師が増えていくことでしょう。この医師数の推移と地域医療を始めとした県内定着の見通しについて、お尋ねします。

<地域偏在と専任科の偏り是正>

⇒今まで申し上げた施策を通じて医師の絶対数を増加させなければなりませんし、その見通しは少し明るい方向性が示されておりますが、一方で、頭数だけ増えればいいわけではありません。大事なことは「医師の地域偏在」と「診療科の偏り」の調整であることは言うまでもなく、そのルール作りを県として今から真剣に議論する必要があります。

⇒県からすれば、現行制度における定着率の高さから、医師の地域偏在解消と診療科の偏り是正に淡い期待を抱いているかもしれませんが、そのカリキュラムから地域医療に関心を持ち定着率の高い自治医大卒業医師と、その何倍もの数がいる修学資金医師とを同じように考え、彼らが指定の地域に行ってくれ、診療科に従い、そして定着してくれると見込んでいるとしたら、私はそんな甘いものではないと思います。

・不十分ながらも増えてくる見込みの修学資金貸与医師が配置される医療機関や診療科をきめ細かく県がきちんとフォローしなければなりませんし、そのためには医師の充足見通しのもと、今から県内の診療科ごとの医師不足状況などを県独自に調査すべきと考えますが、知事の所見をお伺いします。

⇒いずれにしても、一番大事なのは、医師本人が満足し、できる限り求める地域に行ってもらい、できうる限り求める診療科に就いてもらうことですので、今後県としてルール作りなどの様々な取組みを、きめ細かく行って頂きますことをお願い申し上げます。

6、知事の政治姿勢について

<マニュフェスト>

・2期目も残すところあと10カ月となりました。「次も出ますか?」と言った野暮な質問はしませんが、気になるのはマニュフェストの進捗状況です。現在、達成した公約の割合を教えて頂くとともに、未公約のものについては今後どのように取り組んでいくつもりなのか。度重なる災害や国政の空転、不安定な海外事情など、本県だけではどうしようもできない要因がありますので、見直さざるをえない公約があれば、そこも含めてお答え下さい。

<人口流出対策>

⇒本県の最大の課題は何と言っても人口減対策です。マニュフェストの冒頭を飾っておりますし、知事もこの点については「究極の住民投票の結果」だとして、強い問題意識のもと取り組んでいらっしゃると理解しています。

⇒その努力の甲斐あってか、合計特殊出生率はH21:1.37がH22:1.43と短期的ながら全国を上回る大幅な改善を見せ、県全体として県外転出は、着実に減少基調にありますが、一方で、これは景気が低迷する中で首都圏での雇用吸収力が低下していることや、経済的な理由から大学等進学において地元志向が高まっている背景があるのでしょう。大事なことは、外部要因がどう変わろうと、県外流出の減少傾向や県内定着人口の増加、出生率の更なる向上を確実なものにすることであり、そのために県は今後どのように取り組むべきなのか真剣に考えていかなければなりません。逆に、もしこれが適わなければ、明るく希望の持てる本県の将来を描くことは極めて困難な状況になってしまうのではないかと危惧しています。事実、国立社会保障・人口問題研究所の新潟県将来推計人口を見ますと、2035年の本県人口は188万人。生産年齢人口は全人口の5割と大幅に縮小する一方で、2010年に比べると、75歳以上の高齢者数は約1.5倍に増加し、20歳以下の若者の数は約0.54倍になるなど、更なる高齢化の進展が予測されております。また、日本経済研究センターが行った2007年から2020年までの実質成長率予測の都道府県ランキングをみると、本県は42位の0.53%、人口成長率も36位、マイナス0.69%と予測されています。まさに、人口減対策は、本県の未来を左右する喫緊の最重要課題であることは間違いありません。それではどうすればいいのか。

⇒例えば、短期ながらも全国を大幅に上回る改善を見せている合計特殊出生率も、平成22年の出生率を県内30市町村別に見れば、最も高い9.3から最も低い4.3までバラバラですし、死亡率、婚姻率、離婚率もバラバラです。若者の県外流出についても、短期的ではありますが、平成22年度から23年度にかけて下越・中越地域では減少しているものの上越地域では増加するなど、上・中・下越・佐渡の地区別ではどういった傾向があるのか、年代別で見たらどうなのか、また男女別で捉えれば暮らしのどのような課題を見いだせるか等々、従来の一律の数字だけでは本当に効果のある施策は展開できず、地域にとって抱える事情が異なることを前提に、きめ細かな対応をすることが本県の未来に繋がる一歩だと考えます。

・そこで、「夢おこし政策プラン」において、全県的な数字だけではなく、これからは地域別、年代別、性別などを考慮した指標設定と進捗度把握を行い、そこに向けた政策指標を掲げる必要があると考えますが、知事のご所見をお伺いします。

(おわりに)

日本海側国土軸の形成に繋げ、その中心に本県の存在感を際立たせるためにも、人口問題については一定の上昇傾向の道筋をつけなければなりません。知事におかれましては、これこそ「もはや一刻の猶予なし」との危機意識のもと、改めて各部局に対し、個別課題としての「木」ばかりを追うのではなく、人口を増やすという「森」から常に目をそらさないよう意識付けして頂きたく存じますし、人を増やすということは県外、国外からの視点や考え方をも踏まえて対応しなければならないはず。どうかこのことをご留意頂き、知事の仰る「将来に向けて希望の持てる新潟県づくり」に引き続き邁進して頂くことにご期待申し上げ、私の質問を終了します。

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