9月11日から始まった9月定例会が28日に閉会しました。
9月定例会は通常、9月下旬から10月中旬までの会期のところ、今年は知事選(10月4日~21日)の関係でその日程を前倒し、9月中に定例会を終えることになったのです。
最終日の本会議では、国川地滑り被害等の豪雨・豪雪災害の復旧費を含む補正予算案や、住宅の屋根雪対策条例案など27議案を可決するとともに、人事案2件に同意。また、意見書や決議など5件を可決し、閉会しました。これらを受け、平成23年度一般会計予算の総額は1兆3773億円となりました。
この中で私は、自民党が提出してきた第23号発議案「早急に国土の強靭化を図ることを求める意見書(案)」に対する反対討論を行いました。前日に夜なべして作った原稿を以下に載せますので(笑)、お時間のある方はご覧になってみて下さい。
<「早急に国土の強靭化を図ることを求める意見書案」に対する反対討論原稿>
民主党の梅谷守です。会派を代表致しまして、第23号発議案「早急に国土の強靭化を図ることを求める意見書案」に対し、反対の立場から討論を行います。
まず申し上げたいのは、本意見書に反対するからといって、私たちは決して、防災・減災対策や日本海国土軸の形成の促進及び均衡ある国土の発展等に向けての公共事業の必要性・重要性を否定しているわけではありません。逆に、県政の更なる発展に向け、公共事業の必要性、重要性、緊急性は強く認識しており、そのための施策・政策は力強く推進しなければならないと考えています。
ではなぜ反対するのか。それは、与野党共通の認識である財政再建、つまり「プライマリーバランスの黒字化」を目指す中で、10年間で200兆円もの公共事業を約束する国土強靭化は、その施行に向け、財政規律を守りつつどうやって財源を捻出し、どのような手順・方策で災害・防災・減災対策等をしていくのかが全く不明確だからであるし、その財源として本来財政再建と社会保障の維持・充実が目的である消費増税分が利用される恐れも否定できないからです。
周知の通り、政府は財政健全化目標として2015年度までに赤字を半分に減らし、2020年度までにはプライマリーバランス黒字化を掲げていますが、そもそもこれと全く同じ方針を自民党は2010年10月26日に国会に提出した「財政健全化責任法案」の中で謳っています。
「財政健全化責任法案」は、2010年に行われた参院選の自民党マニュフェスト政策集「Jファイル2010」の公約であり、当時の総裁であった谷垣氏はこの法案を「バラマキ阻止法案とでも言って頂ければ」と仰っておりましたが、この中では「当面の目標」として、ストックについては「平成33年度以降の各年度末における国および地方の債務残高対GDP比を安定的に低下」とするとともに、フローについては「平成32年度(2020年度)までを目途に、プライマリーバランスの黒字化。そのために平成27年度(2015年度)までにプライマリーバランス対GDP比を平成22年度から半減」とし、この目標に向けて「新たな予算を伴う施策を実施する際に、経費を上回る財源を安定的に確保」と謳っているのです。
このような目標を掲げる一方で、国土強靭化として10年間に200兆円もの公共投資を進める方針を示すのであれば、他の政策との比較・整合性、財源、将来的な人口減を見据えた維持管理等について国民、県民に説明責任を果たす必要がありますが、本意見書案には「国民経済の成長に『確実に』貢献することから、(中略)国民の安全・安心を確保しながら、公共投資による需要拡大と雇用促進を図り、デフレ脱却の切り札となる、国土の強靭化」とただ前のめりするだけです。これほどまでに大規模に公共投資を増やすのであれば、社会保障費の削減幅を大きくするか、さらに増税する規模を大きくするか、それとも基礎的収支の黒字化を諦めるか、のどれかを私たち国民は選択せざるをえないにもかかわらず・・・です。
こうした点などを明確にせず、かつ財源に消費増税分が利用される道を残したままで「国民経済の成長に『確実に』貢献する」と喧伝し国土強靭化を進めることは「バラマキ」に繋がりかねず、私たちの未来に更なる重たい負担を押し付けかねません。
かつての爆発的人口増で高度成長を遂げた時代と異なり、世界でも類を見ない急激な少子・高齢化の時代に突入する中、私たちが今なすべきは「先祖返り」ではなく、人口減を視野に入れた「未来を見据えた変革の姿勢」が求められているものと確信します。
よって、私たち会派と致しましては、未来に対する責任から、本意見書案に反対の立場を表明し、討論を終了致します。
以上