<被災地への説明なき防衛財源法案採決に反対し、財務金融委員長解任決議案を提出>
本日12日、衆議院本会議で塚田財務金融委員長の解任決議案の採決が行われました。
防衛力強化の財源確保のため、今国会に提出されているいわゆる「財源確保法案」については、今後5年間の税外収入(外為特会、コロナ予算の残り、国有財産の売却など)を先食いして防衛予算に組み入れるものです。また防衛財源全体についても、防衛増税・復興税の流用など、重大な問題があることは言うまでもありません。
しかし与党は、復興税(復興特別所得税)の流用についての被災地での地方公聴会開催などの要求にも応じないまま、与野党の合意なく採決を強行するため、塚田財務金融委員長が職権で「財源確保法案」の審議打ち切りを決めました。今回私たちは、これに対して委員長の解任を求めたものです。
解任決議案は自民・公明などの多数で否決されましが、私たちは引き続き防衛増税などの防衛財源確保について国民への説明を求め、厳しい態度で審議して参ります。
<入管法改正案の対案を参院に提出しました>
5月9日、入管法改正案が衆議院で採決され、参議院に送られました。この法案は、そもそも2年前、名古屋入管で収容中のスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんが死亡したのをきっかけに、入管行政に対する批判を受けて廃案となった法案です。
部分的な見直しは行われたとはいえ、難民申請中であっても強制送還できるなど制度の骨格部分は変わっていません。私たちは、基本的に難民申請を認めず、入管庁が身柄を拘束して本国に送り返す入管行政の抜本的見直しを求め、ほとぼりが冷めたとばかりに提出されたこの法案に反対してきました。しかし今回、与党の賛成多数により衆議院で採決されたことを受けて、難民認定を入管から切り離すことなどを柱とする対案を、新たに参議院に提出しています。
今後は私たちのこの対案も踏まえて、参議院を主戦場としつつ入管行政の見直しを訴えていきたいと思います。
<今週の成立法案>
[不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案] ※賛成
不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律(景品表示法)は、独占禁止法の特別法として、不当な景品や広告などを規制する法律です。
今回の改正は、デジタル化が進展しデジタルコンテンツや海外からのネット通販などが増加する中で、事件処理にかかる期間も長期化していることを踏まえて、ウソや誇大な宣伝を故意に行った事業者に対し行政処分を経ずに100万円以下の罰金を科す規定や、一定期間内に違反行為を繰り返した場合には、課徴金の額を1.5倍にするなど違反行為に対する抑止力の強化の規定が盛り込まれています。また、事業者の自主的な取組の促進として、違反の疑いのある広告について事業者が自主的に改善計画を申し出て認められれば、行政処分の免除を受けられる制度なども盛り込まれました。
[全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案] ※反対
出産育児一時金の引き上げ(政令改正により4月より先行実施)の財源確保のため、後期高齢者医療制度からも費用を一部拠出することとすると共に、来年より、産前産後4ヶ月間の国民健康保険料を免除することとしています。また、収入の高い後期高齢者について保険料上限の引き上げを行うと共に、大企業など報酬水準の高い健康保険組合などについて前期高齢者医療への負担割合が増やされます。
このほか、かかりつけ医機能を有する医療機関に都道府県への報告を義務付けるなどして、かかりつけ医機能の強化を図るとしています。
出産費用の保険適用の方向が示されるなど法案提出後に政府方針が変わったこと、コロナ禍で自宅死が相次いだことなどを踏まえ、出産の経済的負担やかかりつけ医機能強化について数年後の見直し規定を求めましたが、政府与党が応じなかったことから法案には反対しました。
[刑事訴訟法等の一部を改正する法律案] ※賛成
刑事訴訟法は、犯罪に対する刑事裁判など刑事手続について定めた法律です。今回の改正は、①身体拘束されていない被告人の裁判への出頭の確保、②被害者の氏名等が加害者に伝わらない措置の創設を主な内容としています。
①については、保釈等で身柄を拘束されていない被告人が裁判に出頭しない場合、現行法では保釈金の没収などしか規定がないことから、刑罰のある不出頭罪を新設するとともに、保釈された者にGPS等を装着させ動静を監視することを可能にします。
また②については、現行法上、起訴状などで加害者に被害者の氏名住所等が明示され、特に性犯罪などにおいて二次被害を生じる恐れなどがあることを踏まえ、個人を特定する情報が記載されない措置を新たに設けることとしています。
[脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案] ※修正案賛成
世界規模での脱炭素化(GX,グリーントランスフォーメーション)に向けた競争が加速するなかで、日本政府は、2050年カーボンニュートラルの国際公約及び経済成長実現のため、10年間で150兆円を官民で投資することを掲げています。本法律案には、これを踏まえた施策として、「GX推進戦略の策定・実行」「GX経済移行債の発行」「成長志向型カーボンプライシングの導入」「GX推進機構の創設」などが盛り込まれています。
私は、この法案の前提となる政府の「GX基本方針」に、原子力発電所の新増設につながる「次世代各針路の開発・建設」が盛り込まれていることなどから法案には反対する一方、脱炭素への取り組みの重要性を踏まえ、法律の基本理念に脱炭素成長型経済構造への「公正な移行」の観点の追加を求める修正を提案。衆議院の審議では実現しませんでしたが、参議院で同内容の修正が実現し衆議院へ送り返され、本日この修正案に賛成しました。