<内閣不信任案を提出、岸田総理は解散総選挙に踏み切れず>
6月16日11時40分、岸田内閣不信任決議案を仲間と共に衆議院に提出しました。
今国会提出の閣法は、15日の時点で60本中55本が成立し、そのほかも全て衆議院を通過。参議院での審議も5本を残すのみとなっていました。16日提出に踏み切ったのは、午前の参議院本会議において残る重要法案の審議が終了したからです。今国会最大の焦点であったのは、①防衛力強化財源確保法案 ②性犯罪規定を見直した刑法改正案、そして③LGBT法案 ②については全会一致ですが、①③は強行採決でした。そうしたなか、直前まで解散総選挙をちらつかせていた岸田内閣は一転して解散を否定しました。国民の声を聞かない政権に対し、国民の目が厳しくなっていることにたじろいだものと私は考えています。
不信任案に対しては、会期末の恒例行事化しているとか、与党の多数で否決が確実なことから茶番劇との批判もあります。しかし防衛財源にせよマイナンバーにせよ、国会での指摘を受けても立ち止まらず、暮らしが削り取られる国民の悲鳴に背を向ける岸田政権の姿勢を容認してよいのでしょうか。立場の違いはあるにせよ、与野党を問わず国会議員の多くが、本音では岸田政権は国民の声にもっと耳を傾けるべきだと考えていると思います。
批判を恐れず、政権の暴走を容認しない姿勢を示すことは野党第一党の責任です。この不信任案をきっかけに、岸田内閣には政治姿勢を改めてほしいと考えます。
<歪められたLGBT理解増進法案、引き続き差別解消に取り組む>
16日の参議院本会議で、LGBT理解増進法案が与党などの多数で可決されました。
国会では2年前、五輪憲章であらゆる差別禁止を掲げる東京オリンピック・パラリンピックを控えて、自民党を含めた超党派議員連盟において「LGBT理解増進法案」が合意され国会成立が見込まれましたが、自民党内の異論によって成立しませんでした。
今年改めて、G7広島サミットを前に、国際社会や経済界からの懸念の声、そして総理秘書官の差別発言などを受け、動きが本格化しましたが、16日可決成立した「LGBT理解増進法案」は、超党派議連で全党が合意した案ではありません。自民・維新などが急きょ合意した案であり、偏見を助長するような条項が加えられたほか、「ジェンダーアイデンティティ」という外来語をそのまま条文に書き入れるなど、当事者の思いとはかけ離れた内容に修正されたものです。
マイノリティへの理解や権利保護を目的とする法案について、当事者の意図に反した内容を多数決で決めることは、本来、民主主義において避けるべき行為です。今回の与党などの行いに対して強い疑問を呈すると共に、以前より国会に提出している「LGBT差別解消法案」の成立、LGBTへの理解増進そして差別解消に向けて引き続き取り組んで参ります。
<防衛力強化財源確保法案が成立、引き続き防衛増税と戦う>
不信任案の提出に先立ち、16日、「防衛力強化財源確保法案」が参議院本会議で可決・成立しました。今国会の焦点であったこの法案は、岸田政権が突然決めた「5年で43兆円」の防衛予算のため、復興税をはじめとする財源の流用・転用・先食いなどによって、防衛財源をかき集めるものです。
私たちはこの国会の審議を通じて、そもそもの「防衛予算GDP比2%」「43兆円」などが規模ありきだと指摘してきました。防衛力の強化や予算増は否定しませんが、何にいくら必要という計算の上の数字ではなく、先に金額を決めてから、あれも買おうこれも買おうという政府与党の議論の仕方では、効果的な防衛力強化を図ることもできませんし、予算がいくらあっても足りないと考えています。
防衛財源のうち防衛増税については、国会での税制や法案の議論が具体的に行われるのは来年以降です。国民生活が厳しさを増す中、防衛増税を阻止するため引き続きとことん戦ってまいります。